虫歯の再発のケースです。
30代女性です。
前医の先生が処置をおこなって、合成樹脂充填がなされておりました。
しかし、合成樹脂充填と歯の境界が黒くなってきておりました。
虫歯の再発と考えられます。再発を防ぐには、以下のような工程を正確に行う事が重要です。
1、虫歯の部位のエナメルと合成樹脂充填を除去
エナメル質は、人体で一番硬い組織です。
また、既存の合成樹脂充填も同時に削除してゆきます。
そのためにバーで削除が必要です。
左上の写真のようなバーで削除していくと、左上の右の写真のように虫歯に感染した象牙質が見えてきます。
2、虫歯検知液とは、虫歯になって感染している部位を染色して見えるようにする液体です。
左上の前歯に虫歯検知液を丹念に塗布します。
その後、虫歯菌に感染している部位を識別するために水洗して、青い色が残った部位が感染している部位です。
基本、このような検知液で染色しないと虫歯菌に感染している否かは明確に判断ができません。
よく肉眼で観て感染部位が分かると言いますが。実際は、感染部位の取り残しがあり、
数年後に、神経のある歯は、痛み、冷水痛を訴えて来られたり、冠が脱離してきたりします。
3、合成樹脂充填を行う前の前処理を行います。
合成樹脂充填がよく、歯に接着するように、前処理であるエッチング剤とボンディング材を使用します。
まずは、エッチング剤を使用します。
エッチング剤を歯に上記のように塗布して、約20秒ほど置いて、お水で歯を洗浄します。
エッチング剤は、酸です。酸によって、エナメル質の表面に凹凸を作り、合成樹脂が機械的な結合をし易くします。
過度に酸処理を行うと、エナメル質が脆くなりますので、注意が必要です。
必ず、タイマーを入れて、行います。
また、エナメル質と合成樹脂の結合が甘くなると、合成樹脂脱離や合成樹脂とエナメル質との間にすき間が出来て、虫歯菌の侵入を招き、虫歯の再発を起こす原因と
なります。
次に、ボンディング材を歯に塗ります。
ボンディング材の作用は、歯に合成樹脂が付きやすくするための溶剤です。特に象牙質への接着です。
これは、お水で洗浄する必要はありません。
しかし、しっかり、歯の特に象牙質に定着するように、5秒ほど、風を掛けて乾燥させる必要があります。
この工程を正確に行われないと、合成樹脂が象牙質と付かず、合成樹脂の脱離、合成樹脂と歯とのすき間が出来て、虫歯菌の侵入を起こす可能性が高くなります。
つまり、虫歯の再発の原因となります。
4,合成樹脂材を歯に詰めます。
合成樹脂材のフロータイプにも、サラサラ流れやすい物、ドロドロして流れにくい物があります。
当院では、虫歯になった所を補修する時には、合成樹脂材は、サラサラした物を使用しております。
これは、隅々まで、合成樹脂が入りやすく、歯と合成樹脂とのすき間がなく入るためです。
ただ、気をつけないといけないのは、洩れて、不必要な部位まで合成樹脂材が流れる恐れがあります。
最終仕上げ
左上記のように、洩れた合成樹脂材や形態修正を専用のバーで行います。
あまりにも、合成樹脂材が漏れていると修正は困難なので、はじめから、隔壁をしっかり、歯の面に合わせておくのが、重要な事です。
右上記のように歯の間にフロスがしっかり、入り、引っかかりが無いのようにしないと不良治療となり、虫歯、歯周病の再発を起こします。
フロスのひっかり等の問題点に関しては、ここをクリックしてください。
上記のように最終仕上げして、完了した状態です。
治療内容 | 大切な一生残さないといけない前歯が虫歯の再発しました。前医の処置部位を再度合成樹脂材で修正を行いました。 |
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治療期間・回数 | 1回:30分 |
治療費用 ※自由診療となります。 |
治療費:¥1,400-保険の3割負担の場合(税込・処置関連を含む) |
副作用、リスク | 処置中:違和感、痛み、口内炎、食事困難、 処置後:違和感、痛み、合成樹脂充填の脱離、変色、合成樹脂充填部位の欠け |