自分では、取れない歯石を知っていますか?
歯石は、バイオフィルムの一つである歯垢(プラーク)が、だ液中のカルシウムなどを取り込んで石灰化し固くなったものです。
かつて、歯周病の原因は歯石と歯垢の両方だと言われていましたが、現在では、歯石は、歯周病の直接的な原因ではなく、歯石表面のザラザラした荒い面が問題であることが
分かっています。
ここに歯垢が付きやすく除去しにくいため、歯周病が進行するのです。
歯周病予防のために歯石は必ず除去しなくてはなりません。
歯垢だけなら歯みがきや糸ようじ、歯間ブラシなどである程度取り除けますが、歯石は、自分では除去できません。
歯科医か歯科衛生士が、専門の器具を用いて機械的に除去しないと取り除けないのです。
これがなかなか一般に理解されていない大きな問題点のです。
最近、口腔ケアの観点から、患者様の中には、歯石を取り除くという良き知識・意識はある方もいます。
ただ、気をつけないといけない事があります。
歯石でも、歯ぐき先端から上に付いている歯石と、歯ぐき先端の下に付いている歯石があります。
歯ぐき先端から上に付いている歯石のみを除去しても、歯周病は、治癒方向には向かいません。
歯ぐき先端の下、つまり、歯周ポケット内の歯石の除去が歯周病を治癒に向かわせる事になります。
これは、始めにお話した歯石表面のザラザラした部位に歯周病菌が付着します。
この場合に、実は歯周病菌は、酸素がある部位では、繁殖しない性格があります。
そのために歯石でも酸素のある歯肉の先端より上に歯石表面のザラザラした部位では、繁殖せず、歯肉先端の下つまり、歯周ポケットと言われる部位は酸素がなく、
繁殖します。
30分ほどで簡単に歯石除去してもらったと聞きますが、実は、歯ぐき先端から上だけの歯石を取ったのみ、歯ぐき先端の下の歯石は除去していないケースが多く散見されます。
本来、歯ぐき先端下の歯石まで除去するには、30分×4回の時間と手間がかかります。
副作用としては、歯石を除去するときと取った後、冷水にしみることがあります。
これは、術中であれば、局所麻酔で、術後は知覚過敏処置で軽減するのであまり、心配しないでください。
また、知覚過敏用の薬もあり、何度か塗布すると効果がかなり期待できます。
一度歯石を取ったら、年に3、4回はメンテナンスを受けましょう。
メンテナンス間隔が、空くと、歯肉先端の上や下(歯周ポケット)に歯垢つまり、歯周病菌が侵入して歯石化してゆきます。
メンテナンスの中で、衛生士が歯のクリーニングを行います。
普段取り残していた歯垢を取ってもらい、歯石にならないようにすることが、可能となります。
最も効果的な歯周病予防法のです。
歯石が付着して気になる方、また、付いていないかと心配な方は、ぜひ、一度、歯科医院にご連絡をいただくと、調べて良きアドバイスと処置ができると考えております。