口がにおうのはなぜ?
口臭は、自分でにおいがすると訴えるものと、他人が口臭がすると告げられるものとあります。自分でにおいがするものには、精神的な病気からの方が多いです。
今回は、他人から口臭がすると告げられるものを主にお話をします。
口臭の大部分(80%以上)は、お口の中の気体に由来します。他の20%は、食べた物が胃に入り、そこからのにおいです。また、お口由来のにおいの主要な原因物質は「揮発性硫黄化合物」である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメルチルサルファイドです。なかでも硫化水素とメチルメルカプタンが約90%を占めるといわれています。
においのもとになるのは?
●溜まったプラーク
プラークはお口に長くあるほど硬くなっていき、歯ブラシで落ちにくくなります。長く残って熟成したプラークは、においのもととなります。溜まったプラークを除去するには、歯科医院で、専用のエンジンにブラシを付けて、歯面を綺麗にしたり、超音波のスケーラーを使用して、超音波で硬くなったプラークに振動を与え、破壊する必要もあります。溜まったプラークは、歯面に付着した時期が早いと簡単に採れるので、ご自分で、常に気をつけて手入れをすることや、歯科医院に定期的来院をされて、手入れの指導や、クリーニングをすることにより、口臭の基の溜まったプラークを排除できます。
●穴の開いたむし歯
むし歯になって穴の開いたところは、食べかすやプラークが溜まりやすい場所です。そのままにしていると、むし歯が進行しやすいだけでなく、においのもとにもなります。
●歯周病
歯周病菌の中でも病原性の強いPg菌が出す口臭物質が、メチルメルカプタンです。歯周病になっている認識がないために、気づかぬうちに不快な口臭が発生していることも多いです。また、深い歯周ポケットの中には、どうやっても歯ブラシは届きません。プラークや歯石がだんだんと蓄積されていき、強いにおいを発します。
●舌苔
舌には細かな突起(舌乳頭)が無数にあり、そのすき間にはがれ落ちたお口の粘膜や唾液の成分、食べかすなどが堆積します。これが舌苔で、誰しもうっすらとあるものですが、厚く堆積すると細菌の温床となり、不快な口臭を生じます。歯は、歯ブラシで磨く方は多いですが、舌を磨き忘れている方が多いです。専用の舌ブラシを使用すると効果的です。また、通常の歯ブラシでも、鏡の前で舌を出して、奥から手前に歯ブラシの毛先を舌に縦に動かすと効果的です。
●汚れた入れ歯
入れ歯にもプラークや歯石は付きます。ですから、しっかり磨けていない入れ歯にもにおいが発生します。入れ歯の形態は複雑です。歯ブラシも通常の歯を磨くのもではなく、入れ歯専用の物もあり、プラーク、歯石除去には効果的です。特に汚れやすい部位は、クラスプという金属のバネとピンク色の床とのつなぎ目は、プラークが付着して取りずらいので、長期に残り、口臭の原因になります。
●つけっぱなしの仮歯
仮歯は本来、本番のかぶせ物ができあがるまで、仮の歯として使っていただくものです。しかし、仮歯を入れたら噛めるようになったからと、そのままつけっぱなしの方がときどきいます。長くお口にあるうちに、仮歯の表面のプラスチックが傷ついたり、被せた歯との間にすき間が空いたりすると、においのもとであるプラークが溜まってしまいます。このプラークにより口臭が生じます。
こうした歯科的なにおいのもとを治療してもらったり、清掃のしかたを教えてもらうことで、口臭が改善されるケースは珍しくありません。口臭対策は1人で悩むより、歯科医院でお口を診てもらうことも近道です。また、糖尿病や内臓疾患など、全身の病気が口臭のもとになっていることもあります。まずは歯科医院でお口由来の要因を取り除いてもらい、もし身体の病気が原因と疑われるなら、内科を受診しましょう。 口臭が気になる方はぜひ一度歯科医院でチェックをしてみてください。