歯周病とからだの病気
歯周病とは
プラーク(歯垢)の中の歯周病菌が歯肉に炎症を起こしたり、歯根膜や歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまう病気です。歯肉の腫脹や出血から始まり、放置しているとやがて歯がぐらついて抜け落ちてしまうこともあります。
歯は、食べ物がはじめて出会う消化器であるだけに、歯周病などで歯を失うとからだ全体に大きな影響が及びます。さらに今では、歯周病が全身の様々な病気に関わっていることがわかってきています。
歯周病と関係のある病気
脳 認知症
物忘れが病的になった状態。何らかの原因で脳が委縮してしまうアルツハイマー型認知症と、脳卒中の後遺症として起こる脳血管性認知症があります。
心臓 狭心症・心筋梗塞・心内膜炎
狭心症や心筋梗塞は心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が狭くなったり、詰まることにより起こる心臓病です。動脈硬化も進行して起こります。
心内膜炎は心臓の内膜に歯周病菌が感染して起こることがあります。心臓弁膜症などの基礎疾患をもっている方は要注意です。
血管 動脈硬化
高血圧や脂質異常が進行して、血管が厚く硬くなった状態です。血液がスムーズに流れない虚血性の心臓病や脳卒中の原因になります。
肺 肺炎
歯周病菌など、お口の中の細菌が気管に入り込み肺炎にかかることがあります。高齢者や寝たきりの方や、脳卒中の後遺症などで飲み込む力が低下していると起こりやすくなります。
膵臓 糖尿病
血糖値が高い状態が続いておこります。ひどくなるとさまざまな合併症をもたらし、歯周病もその一つと言われています。歯周病を改善すると、糖尿病の状態も良くなるというデータも発表されています。
子宮 胎児の早産・低体重
妊娠中はつわりなどで口腔ケアが難しくなりがちです。そのため、歯ぐきに炎症が起こりやすく歯周病になる方が増えます。妊婦さんが歯周病になるとおなかの赤ちゃんが小さく生まれたり、早産となるリスクが高まるというデータがでています。
骨 骨粗鬆症
特に女性に多く、骨密度が低下し骨がすかすかにもろくなる病気です。骨粗鬆症になると骨折しやすくなります。また高齢者の寝たきりの大きな原因となっています。
手足の先 バージャー病
手や足の指先が青紫色になって強い痛みが起こり、潰瘍になってひどくなると細胞が壊死してしまいます。喫煙者に多い病気です。
癌
歯周病菌によって炎症が起こり、その状態が続くことで正常細胞に異常をきたし、発癌に結び付くというデータもでています。
肥満
肥満はさまざまな生活習慣病の温床となっています。近年、おなかに脂肪がつく内臓脂肪型肥満がメタボリックシンドロームの大きな原因になるので特に問題となっています。