歯ぐきから出血したら?どうされますか?
昔、リンゴをかじって歯ぐきから出血する人は歯周病になっているかもしれませんよ、というテレビコマーシャルがありました。
覚えている方は、失礼ですが、すでに歯周病になっている人が多い年代に達しているはずです。
歯周病で歯ぐきの炎症があるとき、歯磨きなどのちょっとした刺激で歯ぐきから出血しやすいのは事実です。
出血してもあまり、痛みを伴わないので、少しくらいの出血で歯科医院に行く人は少ないでしょう。
確かに歯ぐきから出血する最大の原因は歯周病です。
しかし、歯周病がすべてというわけではありません。
お口の中に限れば、義歯などでできた傷や口内炎の一種の血管腫、まれに口腔がんなども歯ぐきや口腔粘膜からの出血の原因になります。
義歯などでできた傷の原因は、歯ぐきと合わない義歯を使用することで、義歯が歯ぐきを傷つけることで生じます。
血管腫は、血管が拡張したり増殖したりできる良性のできものです。
血管腫は、ちょっとした刺激で、血管腫の表面粘膜が破綻して、大量の出血を伴います。
食事中とか、会話中とかに出血が、突然、起こり、びっくりされる方も多いです。
口腔がんは、お口の中にできる悪性のできものです。
がんは、増殖するために、がん細胞が、エネルギーが必要です。
そのために、周りの組織から、血管を多く増殖しております。
血管が破綻して、お口の中に出血が多くでるケースもあります。
さらに全身疾患などが原因で歯ぐきから出血する場合があります。
例えば、血友病や紫斑病など血液や血管の病気があげられます。
血友病
血友病は、血液を固める因子が欠乏している事で起こる遺伝的な出血性の病気です。
不意に出血したり、わずかな傷で出血したりする可能性があります。内出血が多いのが特徴です。
お口の粘膜下に血液が溜まって血種を作り、何かの刺激で
出血を起こします。
この中には、白血病や再生不良性貧血など重篤な疾患も含まれます。
紫斑病
皮膚内や粘膜内の出血によって起こる紫から鮮紅色の班(紫斑)を認める疾患です。炎症を伴うものと伴わないものがあり、主に血管炎で生じます。
止血に重要な働きをしている血小板が減少してしまうことなどで、血が止まりにくくなっている時に起こります。
白血病
白血病は、血管細胞の生成に関わる細胞や前段階の細胞に異常が起こり、骨髄内でがん化した細胞(白血病細胞)が無限に増えていく血液のがんです。
白血病の症状は、貧血、出血、発熱があります。
その中の出血症状としては、歯肉出血、鼻出血、皮下出血などがあります。
再生不良性貧血
再生不良性貧血は、骨髄にある血液をつくる細胞が減少して血液中の赤血球、白血球、血小板などの血球が減少する病気です。
赤血球が少なくなると、酸素欠乏症がおこり、だるさや動悸、息切れを感じます。口の中の粘膜などが白っぽくみられることもあります。
白血球が少なくなると、肺炎などの細菌感染症を起こしやすくなり、発熱なども見られます。
血小板が少なくなると、出血しやすくなり、口の中で、もちろん、出血が起こります。
肝硬変
- 肝硬変など肝臓疾患のときも歯ぐきから出血する傾向が高まります。
肝硬変は、肝臓の機能が低下して、血液を固める因子や血小板が減少するため、出血傾向が見られます。
出血傾向の症状は、鼻血や歯ぐきからの出血、吐血があります。
- 血小板減少は、肝臓が硬くなり、脾臓から肝臓への血液の流れが悪くなる。脾臓が大きくなります。
脾臓は血小板を分解する機能があるので、血小板の数が減少します。
また、肝臓で作られる血小板を作る機能を促す酵素の産生も低下します。
- 血液を固める因子の低下は、肝臓の機能低下によって、本来肝臓で作られる固める因子のたんぱく質が減少する。
歯ぐきからの出血を侮るなかれ、です。
上記に述べさせていただいたように、全身疾患と口内疾患で歯ぐきから出血します。
歯ぐきから出血する症状があれば、ぜび、一度は、歯科医院で診ていただく事をおすすめします。