なぜ人に犬歯があるのか?
犬歯は、人間なのに、犬のような歯が鋭く長く伸びています。
名前もそのまま「犬歯」です。犬歯は上下左右で計4本あり、すべて前から数えて三番目の歯です。
私たちは、日ごろどういう時に犬歯を使っているのでしょうか。
縫い糸や釣り糸をかみ切る場合等がありますが、何といっても鶏の骨付きもも肉のオーブン焼きを豪快に食べるときとか、カニの殻を割るときなど、
犬歯がないとイライラするでしょうね。
さて、ここで実験です。歯を上下かみ合わせして、下あごを左右どちらかにずらしてみてください。上下の犬歯だけがかみ合う場所があるはずです。
もちろん歯並びが悪かったり、犬歯がすり減っていたりしたらできないこともあります。
犬歯の役割は上下の歯を使って「かみ切る」ことだとわかります。
犬歯はかみ切る衝撃に耐えるために、見えている部分(歯冠)だけでなく。根も他の歯よりかなり長くなっています。
力強い犬歯を大切に、決して無茶な使い方はしないように気遣って下さい。犬歯を必要以上に酷使すると、歯の先端がすり減るだけでなく、歯に亀裂が入ったり、犬歯の周りの歯肉や
骨に炎症が起きたりすることも珍しくありません。
犬歯は、かみ切るという機能は今、お話をしましたが、他に機能としては、他の歯や顎関節を保護するという機能もあります。
犬歯は、前歯に属します。歯は、前歯部と臼歯部とに分けられます。前歯の中に犬歯は含まれます。犬歯は先ほど、述べたように、見えている部位(歯冠)は、他の歯より、
長いです。また、根も長いです。
そのために、下あごを横にずらすとき、食事をする場合のかみ切るとき等には、犬歯のみ、もしくは、犬歯と前方の側切歯だけで噛み、奥歯は隙間ができて、噛んでおりません。
この隙間に食材を介在させて、奥歯でかみ砕いております。そのまま、奥歯同士が隙間なく噛むと、横の強い力が生じます。
歯は解剖学的に杭と同じ構造です。杭は垂直の力には、抵抗を示しますが、横の力には弱く、倒れてしまいます。
結果として、横の力が歯にかかりすぎて、歯が折れたり、周りの歯周組織である骨に負担過重になり、歯周病となります。
犬歯の保護機能がないと、顎の関節への負担もかかり、関節の変形や関節円板の偏位を起こして、俗に言う、顎関節症になる可能が高くなります。
他に犬歯の保護機能がないと、奥歯の詰め物や冠が脱落してくる患者様が多いです。
このように犬歯の機能面で、人間にとって大変重要な歯です。
犬歯が過剰にすり減ったり、喪失するとてきめん、お口のトラブルにつながる事となります。
なぜ人に犬歯があるのは、ご理解して頂けたでしょうか?
犬歯は、かみ切る事と他の歯や顎関節を保護する事を述べさせていただきました。