口は大切な器官です。
お口は、肺や心臓、腸、脳などの内臓と同じように身体の大切な器官の一つです。
肺は、酸素と炭酸ガスの交換、心臓は、血液を全身に送るポンプ機能、腸は栄養を吸収、脳は思考機能と通常は一つの臓器は、一つの機能のみです。
しかし、お口は多機能です。
ほかの臓器や器官とは違う特別な機能を果たしています。
「かんで食べる」「飲み込む」ことは生命維持の根源で、胃や腸などもそれぞれ重要な働きをして
いますが、
お口の特別な機能は、「表情」「愛情表現」「味わう」「声を出す」ことです。「表情」は泣いたり笑ったりできる事、「愛情表現」は、キスをしたりする事、「味わう」は美味しい食事を味わい事、「声を出す」は会話をする事とお口のおかげです。
「おいしい物を食べたい」という願いはだれでもあるはずです。そして、他の人とコミニュケーションをとることで、人は生涯にわたって社会生活を送っています。上記の機能が一つでも失われると社会生活がスムーズにいかなくなります。
その意味で、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)という言葉を最近富に聞きます。
「生活の質」という意味で、人間らしい望み通りの生活をどれだけ送れているかを知るための尺度と考えております。
この言葉は、医療の発展に伴って大きな意味を持つようになりましたが、
ある外科医がお話をしてくれました。
「私たちは命にかかわる病変を手術して治すことができますが、
しかし、その患者様が社会復帰するためには、まず点滴を外し、自分で食事ができるような状態まで回復する事が第一の条件です。」言われました。
最近、大学病院や市民病院、大手の病院では、患者様が最初来院されたら、歯科検診が必須になっております。
患者様の主病気が緊急性が低い病気の状態であり、歯科治療が必要と判断されれば、
まずは、歯科のかかりつけ医で処置をしてもらい、完了してから、主病気の処置を大学病院や市民病院、大手病院で手術をおこないます。
これは、術後にお口から食べる機能がないと、体力回復が困難となり、傷口の治りが遅く、退院できない、もしくは、入院期間が長くなります。
このことからもわかるように、お口の機能回復とは重要な機能です。
最近 来院された患者様でした。
歯周病が重症で奥歯はグラグラしております。食事はとんかつ等の硬い物は噛めない。ネズミのように、毎日、前歯で柔らかい物ばかりを
召し上がっているようでした。前立腺の処置をうける前に、食事ができような状態を作る必要性があります。
表情、愛情表現、かみ機能や発音機能の回復のためには、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士ができる事はたくさんあります。
歯科もQOLに直接かかわっている医療分野だという事をわかっていただければ助かります。