知らないと怖い、女性のからだと歯周病の関係を知っている?
女性と歯周病の関係では、妊娠や出産、閉経後に増加する骨粗鬆症などが深く関係していることが分かってきました。
歯周病菌が妊娠・出産時にも悪影響を与える?
妊娠により女性ホルモンが増加すると、唾液の分泌量が減少したり、唾液の粘性が増します。それにより唾液の自浄作用(汚れを洗い流す働き)が低下します。また、妊娠中はつわりなどで歯磨きが難しくなりがちです。そのため、歯ぐきの炎症が起こりやすくなり、歯周病になる人が増加します。
さらに、妊婦さんが歯周病になると、お腹の赤ちゃんが小さく生まれたり(低体重児出産:出生体重2500g未満)、早産(妊娠37週未満)となるリスクが約7倍高まることが知られています。
これは歯周病の炎症によって出てくるプロスタグランジン(子宮の収縮などに関わる生理活性物質)などの物質が、胎盤に影響するためであると考えられています。
妊娠中は自分自身のためだけでなく、生れてくる赤ちゃんのためにもお口の状態に気をつけるようにしましょう。
更年期女性は要注意! 歯周病と骨粗鬆症は相互に関係!?
骨粗鬆症とは、骨密度が減少して骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。女性に多い病気で、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の低下が主な原因です。骨粗鬆症の方が、歯周病になると、歯槽骨(歯を支えている骨)が急速にやせてしまいます。骨粗鬆症が直接的に歯周病を引き起こすわけではありませんが、骨が吸収されやすくなるため歯周病が重症化しやすいので注意が必要です。
また、歯周病によって歯を失うと、噛む力が衰えてしまい食事によって得られるカルシウムも不足することとなり、さらに骨を弱くしてしまう悪循環を招いてしまうことになります。
骨粗鬆症やカルシウムの摂取不足が直接歯周病を引き起こすわけではありませんが、歯周病を悪化させる因子であることは判明しているので、歯周病を予防するために定期的な歯科検診を受けることが大切です。
骨粗鬆症の予防のためには何をしたら良い?
骨を強くする食事を摂る (カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を多く含む食品を毎日の食事に取り入れるようにする)
♦カルシウム ※骨粗鬆症や骨折予防のためのカルシウムの摂取推奨量は1日700~800mgです
大豆製品(豆腐・納豆等)、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト等)、魚介類(イワシ・干しエビ・シシャモ等)、野菜・海藻類・種実類(小松菜・干しワカメ・いりごま等)
♦ビタミンD
魚類(サンマ・サケ・イワシ等)、きのこ(きくらげ・干ししいたけ等)、卵等
♦ビタミンK
野菜類(小松菜・ほうれん草・モロヘイヤ等)、納豆、干しワカメ等
※リン・食塩・アルコール・カフェインはカルシウムの吸収を阻害するため過剰摂取は控えるようにしましょう。
例:スナック菓子・インスタント食品・アルコール・タバコ等
骨を強くする運動をする
骨は、負荷がかかるほど骨を作る細胞が活発になり強くなる性質があります。散歩を日課にしたり、エレベーターを使わずに階段の上り下りを行う等、日常生活のなかでできるだけ運動量を増やしましょう。
『スクワット』・『ダイナミックフラミンゴ体操(片足立ち)』が推奨されています。
骨粗鬆症治療中の方や、膝に痛みがある方は運動を開始する前に医師に相談するようにしましょう。
以上の事を述べたように、知らないと怖い事は、女性の場合は、歯周病のみに注目するのではなく、その背景のホルモンの変動を考慮した事(骨粗鬆症)に気をつける事も重要です。