親知らずは、今、問題なければ、そのままで良いですか？

永久歯で一番奥に生える第三大臼歯があります。私たちはこの歯を「親知らず」と呼んでいます。

親がわが子の口の中をのぞけなくなる高校生のころに生え始めることから、また、昔は、親の寿命が短く、親が亡くなる頃に生えてくるので、こう呼ばれるようになりました。

親知らずは、大人になった証しといえそうです。上下４本の親知らずが真っ直ぐ生えて、なおかつきちんと噛めている人は少ないようです。

現代人の約３０％は生来、親知らずが１本も無く、４本ともある人も３０％ほどであることが分かっています。

親知らずが生えると痛いと言う人がいます。

現代人は顎の骨が小さめで、親知らずが生える余地が少なく、骨の中に埋まって生えてこないことが多いです。例え生えてきても、上あごでは、ほほ側に飛び出してほおの粘膜を傷つけたり、下あごでは傾いて生え歯ぐきの炎症の原因になったりします。

親知らずは磨きにくいので、むし歯や歯周病にもなりやすくなります。

自分の親知らずの状態を知り対応することは、大人としての健康管理の第一歩です。歯科医院では、親知らずだからとむやみに抜歯することはありません。しかし、残したままでは、弊害があると判断すれば、説明して抜歯します。

一方、歯並び・かみ合わせに問題を起こすことも多いです。

奥から前方の歯を生えてくるときに押し続けると最前方の前歯がガタガタとなります。審美的な見栄え場も悪い状態です。その部位が磨きづらくなり、歯周病、むし歯になり易いです。磨きづらいので、前歯の内側には歯石がべっとり付着する状況になります。それを気になり、来院される患者様が多いですが、対処的には、歯石除去となります。

根本的には、親知らずの弊害です。なので、抜歯をおすすめします。抜歯したら、前方の歯を押す作用はなくなります。これで、前歯のガタガタは悪化はしなくなります。更に、前歯のガタガタの歯並びを改善したければ、親知らずの抜歯のみでは、改善の可能性は低いです。抜歯して１か月ほどして、抜歯した部位の傷が治癒するころまで待ちます。その後に前歯のガタガタが改善しておらず、気になるようだと、

歯並び・かみ合わせの治療法として、

歯科矯正をおすすめします。その場合に、親知らずに奥歯を前方に押して、親知らずが無くなり、押す力はなくなったのですが、奥歯が前方に傾いている状況です。根本的に改善を考える方は、全体の歯科矯正治療が有効です。また、そこまで、必要性を感じない方は、奥歯の傾きは改善させず、前歯のガタガタのみを修正するには、部分矯正が有効です。

最後に

演題の親知らずは、今、問題無ければ、そのままで良いでしょうか？の答えは、一度、歯科医院で診てもらい、治療の必要性の有無を検討した方が良いです。

ご本人の判断と、歯科医学的な見地での判断では、ズレがある場合があります。ズレがあれば、近い将来、トラブル発生となります。

予防的に対処した方が、大きなトラブルは防止できます。