女性ホルモンと歯周病
男女問わず歯周病のリスクはありますが、女性は歯周病には罹りやすい時期があります。
ライフステージと歯周病
女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、歯周病に大きく関わっています。
女性ホルモンのバランスが乱れると、歯ぐきが炎症を起こしやすい状態になります。女性はライフステージによってホルモンの分泌が変化するため、歯周病になりやすい時期が何度か訪れます。
思春期
思春期になると女性ホルモンが増え続け、歯肉への血流量が増えます。そのため歯ぐきが腫れたり、歯磨きの時に出血するなどの症状がでます。歯周病菌は、血液中の鉄分やたんぱく質を栄養にして活性化します。また、不規則な生活やストレス、食生活や歯磨きの状態を保護者が管理しづらくなるなど、様々な要因で歯周病に罹りやすくなります。
思春期~成熟期
11歳から35歳頃までの若いうちに起こる侵襲性歯周病という歯周病があります。発症率は0.05~0.1%と高くはありませんが、通常の歯周病より骨が壊れるスピードが速い重度の歯周病です。ホルモンバランスの乱れだけではなく、遺伝も大きな原因と考えられています。
妊娠中
妊娠中は女性ホルモンが大量に分泌され、出産直前まで増え続けるため、歯ぐきの腫れや歯磨き時の出血、口腔内のねばつきなどの症状がでます。つわりで口腔ケアが疎かになる、食事の頻度が高くなるなどの要因も重なり、妊娠中は歯周病が進行しやすい時期です。また、妊娠中の歯周病は早産や低体重児のリスクを高めます。
更年期
閉経前後、女性ホルモンは激減します。女性ホルモンであるエストロゲンは骨密度の低下を防ぐ働きをしているため、エストロゲンが減ると骨密度が低下します。その結果、歯を支えている歯槽骨もやせて歯周病が悪化しやすくなります。また、エストロゲンには粘膜を保護し、潤いを保つ働きもあります。エストロゲンが減少し、唾液の分泌が減ることで口腔内が乾燥することも歯周病のリスクを高めます。
更年期にひどい症状がみられる場合が多い慢性剥離性歯肉炎は、焼けるような痛みや出血などの症状がみられます。痛みで歯磨きが出来なくなると、症状が慢性化し再発を繰り返します。
予防するために
女性に限らず、歯周病の予防には歯石の除去や日々の口腔ケアが大切です。歯周病に罹りやすい時期があっても、定期的にメンテナンスを受けることで予防および重症化前に早期発見することができます。出血や腫れを放置せず、普段から適切なケアを心がけましょう。