老年期のお口の中の特徴って?
高齢者のお口の中の特徴を知っていますか?これから老年期に入ろうとしている方や今現在老年期の方は自分達のお口の中の特徴を知っていることでお口の中の疾病の早期発見にも繋がることがあります!今回は老年期のお口の中の特徴について知ってもらえたら嬉しいです。
老年期っていつからなの?
WHOの定義では65歳以上を指します。さらに、65歳から74歳までを「准高齢者」75歳以上を「後期高齢者」と分けています。
★老年期
高齢者は一般に有病率が高く、全身疾患は一人で複数の疾患や合併症を引き起こし、疾患の特徴的な症状が出にくくなります。そして経過が長いため、その間に余病を併発しやすいという特徴があります。また、新しい知識の吸収や技術の習得は一般的に困難であり、老年期のモチベーションの難しさがあります。
老年期の口腔内状況は、成人期の問題を抱えたまま、その問題が広範囲になっていることが多いです。そのため、現在歯が少なく、多くの補綴装置が必要となります。
①残存歯の保護と保健管理
老年期は成人期に比べて、噛む能力が低下をしています。また、口腔機能の表情筋が緩むことによって唾液の流れが変化をします。その他、薬物の副作用などにより唾液の分泌量の減少が認められるようになると、残存歯の虫歯になるリスクは一段と高くなります。
②歯周病と保健管理
セルフケアの実践度が低下する時期です。リスクが高いと判断されるときは、リコール間隔を短くして、プロフェッショナルケアが必要となります。
③口腔粘膜の保健管理
口腔に原発する前癌病変(白板症、ニコチン性白色角化症、扁平苔癬など)や粘膜癌、感染症(壊死性潰瘍性歯肉炎、カンジダ症など)さらには金属アレルギーや再発性アフタなどの口腔軟組織の疾患や加齢によって一段と高くなる時期です。メンテナンスを定期的に受けて口腔軟組織を診査、観察する必要性が増す時期になります。
④口腔乾燥症に対する保健管理
唾液の分泌が過度に減少をすると、口腔粘膜の表面は乾燥をしやすくなります。また、口腔乾燥症の場合は、咀嚼障害、嚥下障害、発育障害、義歯の維持力低下、味覚異常、口腔清掃の不良、粘膜の均熱感、カンジダなどの口腔乾燥症、進行性う蝕などの多くの問題が生じてきます。そうなってくると、口腔の健康を損なうばかりではなくて、日常生活がままならなくなり、QOLを低下させることになります。
老年期では全身疾患と関連した複数の薬剤を服用していることが多く、各種薬剤の副作用として口が乾くことがあります。口が乾く薬剤として報告されているものには、老年期に服用する薬剤が多くあります。高齢者の嚥下困難には、唾液の減少による口腔乾燥が関与をしていることもあります。
★口喝を副作用とする薬品
- 中枢神経溶剤→向性薬剤、抗うつ薬、睡眠精神薬、抗不安薬
- ・循環器系用剤→降圧剤、不整脈治療薬、利尿薬、冠血管拡張薬
- ・ホルモン剤→副腎皮質ホルモン剤、ホルモン剤
- ・末梢神経溶剤→自律神経溶剤
- ・アレルギー溶剤→抗ヒスタミン薬
- その他→抗悪性腫瘍薬、散瞳薬、特殊輸液、浸透圧剤
★高齢者と誤嚥性肺炎と口腔のケア
高齢者では誤飲や誤嚥(摂食、嚥下障害)を起こしやすく、特に要介護高齢者における誤嚥性肺炎への対応は深刻かつ緊急の課題です!!障害を誘発する疾患の多くは、脳血管障害(脳出血、脳梗塞)の後遺症、パーキンソン症候群、重症筋無力症などです。
口腔衛生状態の悪化は軌道感染の悪化のなるので、口腔の清潔維持を目的に行われる口腔のケアには軌道感染予防の必須条件です。口腔細菌数の減少は、発熱.肺炎の防止に有効です。口腔の清潔維持とは、口腔前庭移行部、粘膜、舌背に停滞した食物残渣の除去、義歯の清掃です。感染に対して抵抗力の減少した人の場合、義歯床下粘膜に生じる口腔カンジダ症は、食道カンジダ症や性肺炎を起こすことがあります。