生活習慣病予防は歯周病対策から
近年、歯周病菌がからだの様々な病気に影響していることが分かってきています。中でも特に注目を集めているのが生活習慣病との関係です。歯周病予防が生活習慣病を防ぐことにつながることになります。
メタボリックシンドローム予防にもつながる
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧、脂質異常の2項目以上がある場合に当てはまるとされています。メタボリックシンドロームを放っておくと動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞などの心臓病や脳卒中などの危険が高まります。こうした危険な状態を招かない為にも、メタボリックシンドローム対策が重要とされています。
肥満の予防や解消は歯周病予防にあり
食生活において歯周病予防を心がけると、肥満対策につながることが分かっています。そのポイントは、規則正しく食事をとり、間食を減らすことと、よく噛んで食べる事です。間食の回数や量を減らせば、それだけ食べかすや歯垢(プラーク)が歯につく機会が減り、歯周病が防げます。それと同時に余分な間食をやめるだけでも肥満防止に繋がります。
また、しっかり噛めば唾液腺が刺激され、唾液がよく出て口腔内を綺麗にし、歯周病を防ぎます。よく噛んで食べれば、満足感が得られて食べ過ぎないですむようになります。
よく噛むことは肥満やメタボリックシンドロームの予防や解消につながる
噛むことが肥満を防ぐメカニズムもわかってきています。脳内にある神経ヒスタミンという物質が食欲を抑え、エネルギーを消費させる働きを持っています。この神経ヒスタミンは噛むことで活性化されるので、よく噛んで神経ヒスタミンを活性化させることが大切です。1口30回噛むことが肥満予防法として推奨されています。
歯周病を治療すると、糖尿病も良くなる
歯周病は、心筋梗塞、脳梗塞、網膜症、腎症、神経障害に次いで糖尿病の第6番目の合併症といわれ、糖尿病が歯周病を引き起こすことはよく知られていました。さらに最近では、歯周病を改善すると糖尿病の状態も良くなるというデータが発表されています。
歯周病が糖尿病を引き起こしたり、悪化させることもある
糖尿病の人は免疫力が低下して歯ぐきの炎症が起こりやすくなるため、糖尿病が歯周病をもたらし、悪化させると言われています。さらに歯周病がひどくなると炎症によって出てくる物質がインスリンの血糖値をコントロールする働きを妨げて糖尿病の状態を悪くするといわれています。
歯周病が糖尿病を引き起こすメカニズム
歯ぐきの炎症により TNF-α(炎症性サイトカインの1つ 増加するとインスリンの働きを妨げる)が出てくる
↓
歯周病がひどくなり炎症が慢性化するとTNF-αが増えて血液中に流れ込みCRP値(炎症パラメータ 上昇すると肝臓の働きを弱め、糖代謝にも悪影響を及ぼす)が上昇する
↓
血液中にTNF-αが増えすぎるとインスリン(膵臓で分泌される血糖値をコントロールするホルモン)の働きが妨げられる
↓
高血糖になる
↓
糖尿病になる