歯周病が深刻な病気をもたらす?肺炎と歯周病の関係
肺炎と歯周病の関係
高齢者が命を落とす原因の中でも上位に入っているのが肺炎です。そのなかでも多くを占めるといわれているのが、食べ物や唾液が誤って肺に入って起こる「誤嚥性肺炎」です。誤嚥性肺炎には歯周病菌が大きく関係しています。ここでは肺炎と歯周病の関係について詳しく説明します。
歯周病ってどんな病気?
歯周病とは、歯と歯を支える組織(歯周組織)における様々な病気の総称です。歯茎の腫れや歯茎からの出血から始まり、放っておくとやがて歯がぐらついて抜けてしまうこともあります。昔よく耳にした歯槽膿漏(歯茎から膿が出る病気)は、歯周病の一つを表しています。
歯周病を起こす原因は、歯と歯茎の間に溜まった歯垢(プラーク)の中にいる歯周病菌です。歯周病菌が歯茎にダメージを与え、少しずつ歯を支える組織を破壊していきますが、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気付かないうちにひどくなることが多いです。
歯周病菌は歯周病が進行していくほど、歯面にこびりついて剝がれにくくなる性質をもっています。そのため、歯周病が進行すればするほどどんなに丁寧に口腔ケアをしても自力で落とすことができなくなってきます。そうして、歯周病菌が常に大量に存在している状態になってしまいます。
肺炎ってどんな病気?
肺は体内の二酸化炭素と、体内に取り込んだ酸素を交換する重要な器官です。 その肺が、細菌やウイルスなどの病原体に感染し、炎症を起こしてしまうのが肺炎です。
感染の原因としては、高齢である、そのほかの疾患にかかってしまった、などの理由で免疫力が低下し、肺にまで病原体が入り込み感染するケースが多いようです。肺炎は、咳、発熱、呼吸困難、胸の痛みなどの症状がみられます。
誤嚥性肺炎ってどんな病気?
食べ物や飲み物が誤って気管や肺に流れ込むことを誤嚥といいます。誤嚥の結果、細菌やウイルスが炎症を起こす肺炎のことを誤嚥性肺炎といいます。口から食べ物や飲み物を摂取しない方の場合でも、口腔の自浄作用が衰え、口腔内の細菌は増殖していくので、誤嚥性肺炎は起こってしまいます。
歯周病と誤嚥性肺炎の関係
誤嚥性肺炎を起こす細菌の多くを占めるのは、嫌気性菌という酸素のないところで発育する菌です。そして、歯周病原細菌は酸素の少ない歯肉の中で増殖・発育する嫌気性菌です。誤嚥性肺炎を起こした方の肺から見つかる細菌は歯周病原性細菌を中心とした口腔細菌であるため、歯周病と誤嚥性肺炎の関係性が強いとされています。
口腔内の細菌数が多ければ多いほど、誤嚥した際に肺や気管に入る細菌数が多くなるため、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。
誤嚥性肺炎を予防するためのポイント
➀口腔内を清潔に保つ
口腔内には必ず細菌はいます、そしてゼロになることはありません。それでも、できる限り細菌の数を減らすことが誤嚥性肺炎の予防になります。歯周病の原因である歯垢(プラーク)をしっかり除去することが大切です。そして、自分では落とすことができない歯石や、歯ブラシが届かない歯周ポケット内を歯科医院で清掃し歯周病の予防・進行の抑制をすることが大切です。
②口腔機能の維持・向上を心がける
飲み込みに使う筋肉などを鍛えることにより誤嚥を防ぐことができます。
口の中を清潔にして歯周病を予防することが、肺炎を防ぎ、命を救うことにもつながるので、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。