顎関節症は歯医者で治せる!?
顎関節症は、症状により重症度も違えば、患者さんにしてもらいたいことや歯科医院で行う治療も異なります。
●音がするタイプ
口を開けたときに「音かがする」というのは顎関節症の典型的な症状です。ですが、いちばん軽度なので、過度に心配される必要はありません。また、特に治療の必要はありません。(治療の必要がないかは、歯科医院で診てもらうのが安心です。自己判断は危険なのでしないようにしましょう)ただし、「痛みがある」「口が開かない」といった症状が出はじめたら重症化しています。こうした症状が出てきたら、できるだけ早く歯科を受診してください。
重症化させないためには、生活習慣の改善を心がけましょう。長時間のスマホや歯列接触癖など、顎関節症に影響する習慣をしないようにしましょう。
●痛みがあるタイプ
「口を開けたり噛みしめると痛みがある」、または「今まで音がするだけだったのが、痛むようになった」場合はできるだけ早く歯科を受診するようにしましょう。歯科では、痛みの原因が顎関節の内部にあるのか、顎関節を覆う筋肉にあるのかを判断してから指導や治療を行います。そちらが原因にしろ、まず患者さんにしていただくことは1つで、それは、「痛みが出るような顎の動きはしない」「痛いなら口を開けない」です。筋肉を傷めたら安静にするように、顎にも負担が掛からないようにしまよう。
安静にしていても痛みが引かなければ、鎮痛剤を処方したり、顎の負担を減らすためにマウスピースを作ったりしまう。
●口が開かないタイプ
「大きく口を開けられない」、または「今まで音がするだけだったのが、口が開かなくなった」場合は、できるだけ早く歯科を受診してください。このタイプでは、ほぼ顎関節の内部に問題が起きています。顎関節では、上顎骨と下顎骨の間に「関節円板」という平たい組織があります。この組織がクッションのようにはたらくおかげで、私たちはスムーズに顎の開閉ができます。しかしこれが何かの拍子にズレて顎の動きを阻害するようになると、口が開かなくなります。歯科では、ズレた関節円板による動きの阻害を解消する治療などを行います。その後も、開けにくさが残ったりする場合は、開口訓練を行います。
☆簡単にできるセルフケアの方法
あごを安静にする
顎の力を抜くために唇を閉じ、上下の歯を離しておく。食事はなるべく軟らかい食べ物にします。
痛いことをしない
食事中や会話中などに、痛くなるほど動かさない。あごを休ませる工夫をします。
軽く開口
軽く開口し、5秒保持して筋ストレッチを行います。血行が良くなり、痛みや緊張も緩和します。
その他に、正しい姿勢を保つ、あごを運動させる筋エクササイズなどを行い、自分で治す努力をしまう。これらは初期治療ですが、これだけでも大きな効果が期待できます。
顎関節症はいろいろな原因が積み重なって発症します
かつて、顎関節症は咬み合わせの異常が主な原因といわれていましたが、研究が進んだ今日では、さまざまな因子の積み重ねによって発症すると考えられています。
精神的因子→歯ぎしり・くいしばり、偏咀嚼などの癖→咬み合わせの悪さなどいろいろな因子が積み重なり、あごの耐久限界を超えたときに顎関節症が発症します。
顎関節症の患者さんの多くに共通してみられるのが「歯ぎしり」、「くいしばり」です。また、精神面からの負担によるストレス、またうつ伏せ寝や頬杖なども筋肉や関節に負担を蓄積させることになります。顎関節症は特に治療をしなくてもやがて症状が改善に向かい、自然に治ることも多い病気です。しかし、痛みがあったり、口が開けにくいなどの症状があって、日常生活に支障をきたしているなら、それらの症状を取り除くために治療が必要です。もし、顎関節に異常や不快を感じたら、歯科医院を受診しましょう。