口内炎について良くご存知ですか?
歯科医院での処置と聞いてすぐに想像されるのが、むし歯や歯周病の治療、入れ歯の製作や調整などかと思います。
しかし、歯科医院では、これらの処置のみを行っているわけではなく、お口の粘膜の病気などの治療も行っています。
口内炎とは、お口の中やその周辺の粘膜に起こる炎症で一般的にお口の中にできて痛みを生じる潰瘍を指します。
口内炎には、さまざまな種類があり、症状などの違いから、「アフタ性口内炎」「カタル性口内炎」「カンジダ性口内炎」「ヘルペス性口内炎」などが分類されます。
もっとも多く発症するのが、「アフタ性口内炎」と呼ばれるものです。
これは、お口の粘膜にできる小さな円形の潰瘍です。
周囲は赤く、中心部は白く見え、中央部がくぼんだ状態です。
粘膜表皮の部位に限局している場合は、軽症から、中等度です。表皮だけでなく、真皮にまで進行している場合は、重症です。
なかでも周期的にできるものは、「慢性再発性アフタ」と呼ばれています。
慢性再発性アフタは日本人のお口の中の病気では、むし歯と歯周病の次に多いとされています。
粘膜の傷、ストレスや疲労、栄養障害、性周期がアフタ発症の引き金とされています。
しかし、いまだ原因は不明です。
唇や頬、舌に1~数個でき、通常は1~2週間で治ります。
神経質な人や自律神経の不安定な成人に多く、子どもや喫煙者に少ないのが特徴です。
その他にもアフタはウイルスや膠原病、薬剤が原因で生じることもあります。
アフタ性口内炎とよく間違われる病気に「入れ歯や歯によってついた傷」などがあります。
入れ歯や歯で付いた傷は、入れ歯の調整、歯の研磨等を行わないと改善しません。仮に放置して改善した場合は、義歯であると、義歯の土台の骨の変形、歯であれば、
粘膜の肥厚を起こしており、後々の事を考えると良い事ではありません。
歯科医院で判別してもらって、適正な処置を行ったもらう事が肝要です。
慢性再発性アフタのある方は、お口の中を清潔に保ち、粘膜への傷、過度なストレスや疲労を避けるようにして下さい。
治療には、市販薬(口内炎治療用軟膏)も有効です。また、歯科医院で、専用の口内炎用軟膏を処方できます。
アフタも難治性になると、お茶やお水を飲むだけで激痛があり、中々、完治しません。
その場合は、歯科医院で、むし歯抑制剤で有名なサホライドである硝酸銀の液体を塗布してもらうと改善します。
アフタができたらなるべく早く使用すると治療効果がより高まります。
また、軟膏の場合は、塗り方が重要です。
患部にだ液などの水分がついていると、軟膏は、患部に付きません。テッシュペーパーで、だ液を排除して軟膏を塗る事をおすすめします。
口内炎を予防するのは、次のようなことが挙げられます。
- ビタミンB1、B2、Eなどのビタミンを摂取する。
- お口の中の乾燥を防ぐ(だ液などで保湿して、粘膜表面を保護することが重要です。)
- 食後の歯みがきを徹底する。(口腔内の細菌の数を減らして、細菌感染の頻度が減ると口内炎も減ります。)
ウイルス性の口内炎は、ほおずりなどの接触で人に移す可能性があります。
また、患部を触れた手などから、人へ移ることもあるため、患部を触れないように注意が必要です。
1~2週間経っても治らない場合は、ウイルスや膠原病が原因の潰瘍、入れ歯や歯によってついた傷、あるいは口腔がんの可能性もあります。
口腔がんは、そのままでは決まって治ることはなく、大きくなっていきます。
口腔がんは、全身のがんの1~2%ほどです。悪性度が高く、周囲の組織に進行したり、リンパ節に転移することが多いので、早期発見早期治療が必要です。
1か月も治らない1㎝より大きい、触れると硬いなどの症状があれば、早急に歯科医院の受診をおすすめします。