だ液のチカラ②
だ液のすごさは口の中だけではなく、身体の様々な場所で健康を保つためにパワーを発揮しています。
だ液の働き
①消化を助ける(サラサラだ液)
だ液には、だ液アミラーゼという物質が含まれています。この物質は咀嚼された食べ物のデンプンを分解して麦芽糖に変質させて、より体内に吸収しやすい状態をつくりだします。食べ物がだ液と混ざり酵素が働いて食べ物を柔らかくし、胃が消化しやすい状態にします。
②飲み込むときの潤滑剤(サラサラだ液・ネバネバだ液)
食べ物は口の中で良く噛むことで細かくなります。更にだ液中のムチンの働きにより食べ物が柔らかくなり、食道の表面がなめらかになるので飲み込みがしやすくなります。
※味覚とだ液…食事の大事な役割はもちろん食べ物から栄養を摂ることですが、味を感じ様々な食材や材料を楽しむことも食事の重要な要素です。食べ物の味を感じるのは舌にある味蕾という組織で、その中の味細胞が味物質を受けることで甘いや苦いなどの味覚の情報が脳へ伝達されます。食べ物の味はまずだ液中に溶け出して、それを味蕾が感知することにより初めて味の情報が脳へ伝わるのです。そのため、もしなんらかの原因でだ液の分泌が少なくなってしまうと、物を食べているのに味がよく分からないなど味気のない食事になってしまいます。
③体内への細菌の侵入を防ぐ(ネバネバだ液)
口の中にはむし歯菌の原因菌だけではなく、様々な病原菌が絶えず侵入してきます。だ液には侵入してきた細菌を殺したり、抵抗する働きがあります。
だ液1㎖中の約7~8億個ある細菌を始め、口腔内には多種にわたる常在細菌が存在しています。これらの細菌は人が生まれてからすぐに繁殖し始め、お互いにバランスをとりながら共生しており、いざ外部から他の細菌が侵入した際にはバリアとして機能しています。しかし口腔内の環境の悪化によりいったんバランスを崩すと、有害な細菌が増殖し、むし歯や歯周病、時には全身に関わる病気の原因となったりします。常に口腔内の清浄を心がけることが大切です。
④口腔内を守る(サラサラだ液・ネバネバだ液)
口の中は常にだ液が分泌されています。だ液は食べかすを洗い流し、口の中を清潔にしたり、常に潤いを保つことで口臭を抑制します。
だ液にはムチンという粘性たんぱく質が含まれており、ムチンは水分を多く含む分子構造をしており、粘膜全体を覆う性質を持っています。口腔内粘膜の表面を覆ったムチンには乾燥を抑える保湿効果があり、また食物など外部からの刺激から口腔内の粘膜が傷つかないように保護する作用があります。